OJTトレーナーを任せる先輩に求めたい2つの力 〜後輩のキャリア開発を促進するために〜

人材育成

いきなりですが、みなさんはOJTトレーナー(言い換えると後輩指導を担当する先輩社員)に求められる必須の能力はなんだと思いますか?僕はよくお客様に「優秀であるだけではトレーナーは任せられません」と伝えています。

僕はこれまで15年間で2万人以上のビジネスパーソンに対して研修やコーチングだけでなく、実際の仕事の現場や面談にも同席をしながら、人と組織の成長支援をさせていただきました。その中で、人を育てることができる上司や先輩社員の特徴がいくつか見えてきたので、今回は「OJTトレーナー」に絞って話をしていこうと思っています。

企業によって「トレーナー」に求められる役割は異なるため、まずはトレーナーの役割定義から確認しておきます。中には、トレーナーに精神支援やキャリア開発支援を求めている企業もありますが、今回は最も一般的な「業務遂行支援」「内省支援」をトレーナーの役割と定義しながら話を進めていきます。業務遂行支援は、その名の通り、後輩が業務を遂行できるようサポートする全てのことを指します。例えば、仕事を任せたり、見本を見せたり、一緒にやってみたりすることです。内省支援は、内省≒振り返りのサポートをすることです。後輩がいろんな経験から次に活かせる教訓を得られるように、傾聴や質問を駆使して進めていきます。ちなみに、この業務遂行支援、内省支援と、精神支援を併せて「支援の3類型」と呼んだりします。参考まで・・・

さて、トレーナーの役割定義を明確にしたので、本題である「OJTトレーナーに求められる能力とは?」に入っていきましょう。プレイヤーとしてのスキルや、後輩と向き合おうと努力する力、計画力など、挙げようと思えばキリがないくらいさまざまな能力が想像できると思います。

まずは1つ目から。

1つ目は、「対話力」です。

OJTトレーナーの役割である「業務遂行支援」と「内省支援」を行なうためには必須の力といえます。例えば、仕事を任せるときに後輩が納得いっていない、あるいは困ってそうだ、などと気づき、迷いなく動けるように諭すのも先輩の役割です。大きな問題が発生した時というよりは、後輩の日々のちょっとした違和感や変化に気づいて、適時適切に話しかけて、火種が小さなうちに解消できる力も含みます。また、後輩の様子を逐一上司に報告し、場合により主体的に相談しにいく力も広義の対話力です。

後輩にとって辛いのが、「プレイヤーとしては優秀だが対話力が低い(あるいは後輩と対話する意志がない)先輩」です。無言の圧がかかり、後輩は「なんで自分はこんなにできないんだろう・・・」と感じ、自己肯定感が下がっていきます。そういう先輩をOJTトレーナーにアサインする会社に限って、上司がある意味完璧なタイミングで「優秀な先輩が近くにいて参考になるだろう!」と空気も状況も読めない発言をして去っていきます。そして後輩社員は後輩社員で会社を去る決断をします。・・・管理職からすると一種のホラーですね。でも事実です。

ということで、1つ目は「対話力」でした。

では、2つ目にいきましょう。

2つ目は、「言語化力」です。

仕事を任せるとき、振り返りを支援するときに、この言語化力がないと壊滅的な状況に陥ります。

「作業が終わったら、なるべく早くこれを立ち上げてサッとやるでしょ、その次にこの欄をサンプルに書いてあるようにバーッと埋めていくのね。それで最後にしっかり見直しをして、問題なさそうだったらOKだよ」

というシーンは私は山ほど見てきました。後輩からしてみれば、下手したら

「考えるな、感じろ」

なんてレベルです。

みなさんの周りにいませんか?アバウトラス。(モンスターの名称もデザインも思いつきでCanvaで作りました)

言語化力があるからこそ、適切に物事を伝えることができます。振り返りの支援をするときも同様です。後輩の「なんとなくこんな感じ」を、先輩が「それってこういうこと?」と言語化することで、経験・教訓の解像度が上がり、再現性が高まります。

ということで、OJTトレーナーに求められる2つの能力、対話力と言語化力について解説しました。

ちなみに、以前部下にこの話をしたところ、

部下
部下

いやいやおすんさん、たしかにその2つも大事だと思いますけど。私はもっと大事なことがあるんじゃないかと思いますよ。それはトレーナーに求められるのは後輩の可能性を信じ抜く力です。それ以外に何もいりません!

と力説されました。

まだまだ荒削りですがいい教育者になりそうだな、僕も対話力と言語化力を磨いて育てていこう、と改めて決意したことを思い出しました。その部下は今では立派に管理職として活躍してくれています。

以上、トレーナーに求められる能力についてでした。

最後までご覧いただきありがとうございました。

それでは、また次の投稿で。

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